脱皮

 お顔は、病院にいるあいだ。身体は退院後、少しずつハラ子ちゃんの皮膚の皮が剥けてきている。
 
 これは、入院中、一番心配になったことだ。幼いころ、私自身がアレルギー皮膚炎で悩まされたため、もしかして何かの遺伝?なんて考えたからだ。
 助産師さんに聞いたところ「赤ちゃんも脱皮するんですよ」と言われて一安心。
ふぅー、よかった、よかった!

 脱皮といえば、退院してからの私自身にも当てはまる。
 実は、里帰り中の実家でちょっとしたトラブルがあった。が、今思えば、結局はそれは私自身の脱皮だったのだと思う。
 
 それは娘から母親というスタンスの脱皮。
 親と対立しても、どうにか、どこかでいい娘でいようと努力し続けてきた私から、なにがなんでも子どもを守ろうとする母親への脱皮。 両親の言葉をそのまま書けば、彼らにとってそれは、まさに「カルチャー・ショック」だったらしい。
 
 今思えば、妊娠期間は、そんな私のさなぎから蝶への移行期間だったような気がする。妊娠前から、それこそ結婚前から、頭のなかでは「私は脱皮(自立&自律)できている」と思っていたけれど、ベビが生まれて、それがぜんぜんできていなかったことを思い知らされた。「親になって一人前」という言葉は、こういうことを意味しているのかなあ〜なんて思ったりした。
 
 幸い、それほど理解のない人たちではないので、両親は、カルチャーショックをうまく消化し、最終的にはいまの私のすがたを肯定的に受け入れてくれたが、「ベビができると親とぶつかるよー。初孫なら尚更だよー」という病室で一緒になった経産婦さんの言葉を思い出して、なるほどこういうことか、と思ったりもした。

 ハラ子ちゃんは、私も私の両親も成長させてくれている。こりゃ、ほんと、すごいパワーだ。「母は強し!」という言葉は、こういうプロセスを経てできた言葉なんだろうなあ。

 私にとっては勇気のいることだったが、なんとかクリアーできた。
 ふぅ〜、よかったよかった。