「捨てられていた」「拾ってきた」という話

 妊娠中から、夫ちゃんと「これだけはしないようにしよう」と言い合ったことがある。
 そう、「りんごはね、××から拾ってきたんだよ…」という話。
 みなさん、実の親にこんなふうに言われたことありません?

 私は「地元の呑竜様というお寺から拾ってきた…」と何度も聞かされた。弟も同じだそうだ。これを聞いて、私は両親の子じゃないんだ…と不安になって、実は市役所まで行ったことがあったりするし、弟は弟でお寺に行くたびに「ボクはどの松の下にいたんだろう…」と思っていた、という。

 こんな話をしたら、夫ちゃんも「ボクも橋の下に捨てられていた…と言われた」と話してくれた。そして、「子ども時代って、親が神様みたいに絶対的な存在なのに、拾ってきたとか捨てられてきた…って言うのって、よくないよね?」と盛り上がった。
 
 「親ってどうして、そういうこと言いたがったんだろうね?」
 「子どもがどう反応するか、試してるのかな」
 「自分が絶対的なことを知っていて子どもを試すなんてイジワルだよね?」

 りんごにはこの手の作り話をしたくないな、と思う。どこまでが冗談か分からない子どもに、不安感を与えてイイコトなんてないよ。

 私は、りんごのルーツをちゃんと教えたいな。パパとママがラブラブになって、それでりんごが産まれたんだよ、って。