初めての聞き取り調査

おととい、まるでドラマのようなことが起きた。

その時、私は娘と新しく買ったビーズコースターで遊んでいた。おもちゃを出したばかりだったから、”ピンポーン♪”とチャイムが鳴った時、出るのがめんどくさいなあと思った。けれど、しぶしぶインターホンから出た。

「はい?」と言うと「お話を伺いたいんですが」という。「どちら様ですか?」と言うと「警察の者です」と相手は言った。”うええ? ほんとかよ。私、何もやってないよなぁ…”と、小心者の私は思わず我が身を振り返ってしまった(笑)。

「警察の者です」と言っても、今はウソ手帳を持ってる輩がいると聞くので、娘をリビングで遊ばせたまま、仕方なくチェーンをしたままドアを開けた。すると、相手が「警察庁の者です」と警察手帳を見せた。

「こ、これが…!」と、初めて見る警察手帳に私はドキドキ。しかし、ドキドキに酔いしれる間もなく、恰幅のいい40代の男性が、部下と見られる30代のスリムな男性と一緒にあらわれた。

こ、こわい…。相手の身体の大きさに威圧感を感じ、思わず、叱られているような神妙な気持ちになる。なんで私が神妙になるのだっ!何もしていないのに、と自分に突っ込みを入れる。

ドアを開けると、恰幅のいい男性が2枚の写真を私に見せた。そして「この写真の男に見覚えはありませんか?」と聞いた。左の写真の男性は、見たことがあるような気がしたので、私はそのままを言った。

「近所の交差点で見たことがあるような気がします。”気がする”としか言えないですが…」と言うと、「髪型を変えて、整形しているので同じ人物に見えないですがこの男は同一人物です。この犯人、もう捕まっているんですけどね、この男がこのマンション(ウチのマンション)で、ナイフを出して40万円のお金を恐喝したと自白しているんです。被害届が出ていないので、もし泣き寝入りしている人がいるなら被害届を出してもらいたくて、こうしてまわっているんですが…、奥さんは違いますか?」と言うのだった。

そんなコワい思いをしたことはなかったので、私は「いえ、そういう被害にはあってないです」と正直に(あたりまえだよね)言った。が、私は警察庁の警官がウチに来たことにオドロいてしまった。だって、聞き取り調査されたことなんて、人生初!だったんだもん。

ウチのマンションは、都会のマンションにしてはけっこう穏やかな人が多い。エレベーターに乗ってもみんな挨拶するし、なんだかんだとけっこう助けあうし、みんな笑顔が和やかで、紳士&淑女が集まっているという雰囲気だ。でも、だからこそ(?)か、私の知らないところで、そんな事件が起きていたなんてー。

警察手帳を見たときのドキドキが、高校生の時に光GENJIにドキドキしていた時のものと同質のドキドキだったことに大きく苦笑してしまったけど、娘と二人家のなかにいる時間、近くでコワい事件が起きていたことにも本当に驚いた。

まだまだテレビのなかの事件を自分とは関係のない遠い世界の話--と感じてしまう私がいる。いつも緊迫して精神休まらないようでも困るけど、私はまだまだ平和ボケしていて、想像力が足りなすぎだなと思った。

実は事件よりもコワいのは平和ボケしていて脳みそがふやけきっている自分かも知れない----。もしかしたら、それを幸せというのかもしれないが。