初めての搾乳
「年末年始、りんごを見ててあげるから、時間を見つけてふたりでドライブでも映画でも楽しんできたら?」と母が言ってくれた。
東京に戻ったら、もう二人きりのデートなど無い。まだシャバに出てきて間も無いりんごを置いて、二人きりで出かけることなど出来やしない。なので実家にいるこの年末年始が二人きりで出かけられる最後のチャンスである。
ありがたやー、ありがたやー☆
「じゃぁ、おかーさん、お願いできる?」と言ったら、「いいわよ」ととってもいいほほ笑み方をした。何のことはない、とっても善人ヅラな母であるが、りんごを独占できるのが嬉しくてたまらないようである。
搾乳は、思ったより痛かった。搾乳機など買ってないので、もちろん手搾りなのだが、いつも溢れんばかりにぽたぽた垂れてるので、「50ccなんて余裕のよっちゃんさっ!」と思っていたにもかかわらず、けっこうキツい。
手で搾ると、乳首も乳輪も、その周辺の肌も痛くなる。吸われるのって、なんて楽なんだろう。やっぱり母乳は吸われるに限るっ! …… でも、そんなこと言ってたら、出かけられないのよねぇ。搾乳して母乳バックをつくっておくか、りんごにミルクを飲ませなきゃ。
りんごは、最初はほ乳瓶の乳首を嫌がったが(あごが疲れるみたいだ)、なんとか慣れて飲んでくれた。ほ乳瓶をとことん嫌った母である私よりは、柔軟性がある子らしい、ふぅー。
しかし、搾乳のすがたって、けっこうミジメで情けなくありません? いい年こいた女が自分のおっぱいを相手に必死こいて絞ってる図、なんて。それ、想像したら、私、自分が悲しくなってきちゃった。我が子のためじゃなければ、できませんわよね〜(笑)。