■子どもというスパイス

妊娠する前、よく祈っていた。「個性的な子を授けてください…」と。何に祈るわけでもないけど、なんとなく。男の子でも女の子でもよかったけど、私は個性的な子と一緒に暮らしたかったから。

普通の子、いい子の育児は私はつまんないとおもった。私の性質上、そういう子だと私は育児に飽きちゃうだろうと思った。だから「個性的な子を授けてください…」と祈った。そして、勝手だけど「うんと変わり者だと私のキャパオーバーになるので、ちょっと変わってる程度でお願いします」と付け加えた。

えへへへ…。そしたら、その通り、ちょっと面白い子がやって来た。

娘の愛読書は、『人体絵本』だ。骨格や筋肉、血液の流れ…などがかなりリアルに載っている。「ちのはなし」「あしのうらのはなし」「かさぶたくん」「はなのあなのはなし」など、身体のことを分かりやすく書かれた絵本が大好きだ。

将来、昔科学室でみたような骨格の模型を欲しがりそうだなぁ(あれ、結構お高いのよねぇー)。ウチの娘くらいだろう、胆汁(たんじゅう)や脛骨(けいこつ)なんて言葉を知ってる3歳児は。

こんなふうに、年中、身体のことを知りたがる。私が生理中の時もトイレにずかずか入ってきて、「これ、なーに?」「どこから血が出るの?」「血がでたら、かさぶたができるの?」と私は質問攻撃をうける。

「血が出るのはね、赤ちゃんが産めるってことなんだよ」と教えると、「そうなんだー、りんちゃんはまだ血が出たことないから、あかちゃん産めないねー。はやく血が出ないかな〜♪」と自分のお尻を覗いたりする。

魚をとりわけてあげれば、「骨見せてー」と言うし、フライドチキンを食べながら、「これは鳥さんのどこの骨?今どこの筋肉食べてるの?」と聞く。外科医は、手術後でもレバ刺し食べられるらしいけど、もしかしたら、彼女はそういうタイプなのかもしれない。

子どもの好奇心というライトは凄い。一緒に勉強していると私まで楽しい。その目の光がキラキラしているのは、純粋だからなのだろうか? 

「血はコワい」とか、「科学室はコワい」とか、「臓器は気持ちわるい」とか…そんなふうに私に教えたのは一体誰だ? いつから私はそう思うようになっていたんだ?」と鑑みてしまう。知らないところですり込まれた先入観はおそろしい。他人の体験で、無意識に自分の世界を狭めてしまうのは、ホントもったいない。

子どものおかげで、一度閉じかかっていた世界の扉がまた一つ開く。それが、たぶん子育ての醍醐味なのだろうと思う。