平和ボケという恥

 終戦記念日
 ふとした思いつきで、夫ちゃんと靖国神社へ行くことにした。
 閣僚たちが参拝しているテレビのニュースに触発されたかたちだ。

 自宅から30分程度なので凄く近い。
 飯田橋の駅を降りると、どでかい鳥居が待ち構えていた。
 思ったより人がいっぱい。

 色んな人の想いが集まってきているせいなのか、鳥居の前まで行って、めまいを起こした。
 私は何となく献花したほうがいいような気がして、夫ちゃんに「お花を買おう」と言った。お花を買ったら、なぜかめまいが少しおさまる。

 30分程度並んで、お参り。
 じいちゃんばーちゃんから、赤ちゃん連れの家族まで、色んな人がいるんだなあと思う。

 私は、自分が恥ずかしかった。
 「そう言えば今日…」としか終戦記念日を思い出さない私よりも、ちゃんと確かに戦争について考えている人たちのように見える。

 私はB29の凄まじい話を、祖父から繰り返し聞いた。
 小学生だったその頃、祖父はすでにボケていたのか、同じ話ばっかりしていた。
 その割には、その祖父の話す内容をあまり覚えていなかったりする。
 
 「B29」と「東京からリヤカーをひいて歩いて帰ってきた」と「ご飯を残しちゃいかん」という3つの話しか、私の記憶のなかにはない。
 
 戦争が、風化している。
 終戦記念日には、「平和ボケしている自分」にムチうちたくなる。