成長

昨年の今日は、妊娠がはっきりと確認された日だ。一週間前にも産婦人科に行ったのだけれど、子宮外妊娠の恐れがあると言われて、再び訪れたのだった。

「妊娠しています」と言われた私は、「?」が頭のなかを飛び交い、「あの、双子じゃないですか?」などとトンチンカンなことを聞いていた。

産婦人科医が「産みますか? 堕ろしますか?」と私に聞く。そう言われて、へえ、今どきの産婦人科は「堕ろしますか?」って聞くんだなあ〜とぼんやり思ったことを憶えている。

4月のぬるい風のなか、産婦人科を出てからも、私はぼーっとしていた。嬉しいことだということは分かっていた。だけど、頭はぼーーっ。気づいたら、ぼーーーーぼーーーーーっと、歩くだけ歩いていた。

妊娠の喜びがはっきり分かるようになったのは、それから一週間くらい経ったあとだと思う。しばらく、ずーっと、私はぼーーっとしていた。今思えば、あの時すでに私はつわりが始まっていて、気持ちがわるかったのだ。

あれから、もう1年。超音波画像に「点」みたいに映っていたお腹のなかのベビーは、身長60センチを超え、体重7キロを超え、外気を楽しみ、人を見分け、音に反応し、愛想笑いまでするようになった。不思議なものだなあ、と思う。

そして、私たちもまた、この子の成長とともに成長「させられた」。が、この子と同じくらい成長できてるんだろうか、とふと思う。散歩に出たときに、のんびり考えてみよう。