1歳と1ケ月31日目

■ロタ疑惑、消える。そして、インフルエンザ疑惑も…消えた!

午前9時。診療所に連れていく。いつもなら、ベビーカーに乗ってくれるりんごちゃんが、ベビーカーをひどく嫌がった。まだ私自身も右足の小指に包帯を巻いている状態なのでつらかったが、もう彼女の様子を見ているといてもたってもいられず、」抱っこで行くことにした。

しかし、こういう日に限って、不運! なんとウチのマンションが朝からエレベーターの定期点検で止まっていたのだ。そのため、りんごちゃんとバックを抱え、足をかばいながら、一段一段降り、歩いて診療所へ。

そして、またも不運なことにいつもの優しいYセンセイがお休み。そして、評判の悪いセンセイしかいなかったのだ。サイアク〜!!と思いつつ、「それでも、センセイはセンセイなのだ。この人は医師免許を持っている人なのだ…」と、↑の状態を話し、りんごちゃんのオムツを見せる。

すると「これはロタではないですよ。ロタはもっともっと白いです」と言われた。そして「念のため、インフルエンザの検査をしてみましょう」と。しかし、結果は陰性! 

「インフルエンザだったら、これというお薬を出せるのだけれど陰性だし、オムツを見てもロタでもない。下痢もひどいし、かなりの高熱だし、りんごちゃんの唇も乾いてきていて、脱水症状になる危険もあるし、もしかしたら今夜あたりけいれんが起きるかもしれない。アデノウイルスの可能性も有るし…。とにかく、どこかへ入院した方がいいと思います」とセンセイ。

入院!?と聞き、ぎょっとする私…。しかし、その時もまだ私は若干このセンセイの診断を疑っていたため(ホントに評判が悪いのよ)、「あと1日(そうすればいつもの信頼しているセンセイの診察日なので)様子を見るっていうのはどうですか?」と言ってみたのだが、「いや、とにかく、午前中中に大きい病院に行ってください」と紹介状を渡された。

診療所をあとにし、りんごちゃんを抱っこして家に向かって歩いている間に私の心も、落ち着いてくる。最初は「入院!?」と思ったけれど、私はどこかでほっとしていたのだ。

正直、昨晩は一睡もしていなかったこともある。それに、自宅療養といっても、この高熱と下痢のなか、おっぱい以外の飲み物を受け付けなくなってしまったので、私のチクビもへろへろ。入院すれば、とにかくいつでも看護婦さんや医師がいるので、どんなゴミみたいなことでもすぐ聞ける。

これまで突発もやり、高熱も出たけど、今回ほど辛そうなことは一度もなかった。「親なんだから」という気持ちだけで、何とか対応してきたけど、素直になれば、もう気持ちも体力も限界に着ていたので、入院と聞いて、私は有る意味ほっとしていたのである。


■キョーフの悶絶泣き

診療所から帰り、とにかく実母と義母に電話をかけた。しかし、実母はすぐに出られる状況ではなく、今度は義母に電話するも、なんと義妹がインフルエンザにかかっていてから出られないという。そりゃそうだ、私やりんごちゃんがインフルエンザになったらさらにひどい状態になってしまう。もぅぅぅ、っヒエーッ!だ。

誰かりんごちゃんを抱っこしててくれるだけでも助かるんだけどなぁ…と思っていた甘い気持ちを捨て、もうこうなったら腹をくくって、私は一人で入院準備をすることにした。りんごちゃんはもう極限状態になっていて、もう10秒と離れられない。ちょっと離れれば、ギャン泣き、激泣き、猛烈泣き、なんて言葉では全然足りない悶絶泣き(?)!!

病院に行ってからどうなるかわからないと思った私は、とにかく今のうちにとトイレに入った。だけど1人にするのは1秒ともたないので、りんごちゃんをかかえてトイレに。しかし、この時のりんごちゃんの悶絶泣きはとてもとても辛かった。……だけどね、おっぱい出すためには、私だって水分が必要なのよー、わぉ〜〜〜んっ!!!!(悲痛な遠吠え) ほんとにほんとに、私自身、泣きそうだった。

そして、「とにかく病院に行きなさい。足りないものがあっても、有る程度は病院が対応してくれるから」との実母の言葉を信じ、手近にあったりんごちゃんのパジャマ一枚とオムツをちょっと大目に持って、足を引きずりながらタクシーに乗ったのである。


■高い、炎症反応

幸いタクシーはすぐに見つかり(タクシー運だけはあるのよ、私)、大病院へ。すぐに身長と体重をはかり、採血をした。ちなみに身長72センチ、体重約8700グラム。

その後、診察。お医者さまは「泣き声もいいし、お腹のハリもそれほど悪くない。どうしましょうかねぇ…」と言う。診療所で入院必至と言われてきた私は、すでに「え〜、うそー。入院じゃないのぉ〜? 入院しようよぅー」という気分だった。「ベッドが…」とセンセイがつぶやいていたので、もしかしたらこの時点では病棟にベッドがなかったのかもしれない。

しかし、入院をしぶっていることに私がイライラしているのを見てか、センセイは「とりあえず採血してみましょう」と、血液検査をすることとなった。

私があちこちに連絡して、看護婦さんにまかせ、戻ってみると、採血で大泣きし疲れたのか、りんごちゃんがベッドで眠っていた。しかし、しばらくして目覚め、抱っこをせがむので、イスにすわり抱っこしておっぱいを飲ませると、そのまま下痢のウンチがりんごちゃんのオムツとタイツとズボンを通り抜けて、1メートル四方床一面にびしゃーっと広がった。もちろん、私の手のひらも下痢ウンチ。

これには看護婦さんも医者も驚いたようだ。そして、医者もだんだんと入院に傾き始めた。そして、私は思うのだった。「ああ、しまった。私はりんごちゃんのことばっかり考えて、自分のズボンをもってくるのを忘れていた…!」と。

そして血液検査の結果も出た。「炎症反応」が高い、という。普通の風邪で「0」か「1」のところが、りんごちゃんの場合「6」もあるということだ。これで、かなり強いウイルスかばい菌にやられていることが分かり、入院決定。看護婦さんたちとともに、小児病棟に移ることとなった。


■反省〜〜

この病棟、インフルエンザのほか、とにかく強い病気をもつ子ばかりが入院している、この訳あり病棟。なかでも、りんごちゃんは原因不明のため、特別室に入ることとなった。

この日は、まだまだウンチの検査、尿道の検査などなどされ、そのたびにギャン泣きをしていて、その声があまりに悲痛で聞いている私も辛かった。りんごちゃんは点滴の細い管につながれてしまった。けど、これで脱水症状にならずに済むんだもんね…。

私は母親としてのカウンセリングを受けた(こんなこともするのかと、びっくり)。
「どんな子だと思うか」「どんな子に育ってほしいか」「りんごちゃんの好きなところ」「今回医者の態度、説明をどう思ったか」「入院生活で不安なこと」「りんごちゃんが好きなもの、嫌いなもの」」「今回の入院で、母親として自分を責めていないか」などなど。

私自身は、今回の入院では何が原因なのか分からず、どこかで自分を責めていた。こんなこと今まで無かったのだから、なにか私が原因だったのだろうか?って。だから、このカウンセリングはかなりありがたかったなって思う。

夜には、夫ちゃんに着替えなど色んなものを持ってきてもらう。そして、夫婦で語り合うのだった。「あの時、救急車を呼んで置けばよかった…」と。